「どの薬を使っても効かなかったのに、マンジャロに変えたら血糖も体重もストンと落ちた…」
最近、そんな声を現場で耳にしたことはありませんか?
今、話題のGLP-1受容体作動薬。中でもマンジャロは、従来の薬で効果が不十分だった患者さんにも驚くほどの効果を示し、多くの薬局現場で注目を集めています。
私の薬局でも、オゼンピックやトルリシティ、マンジャロの処方が増えており、実際に「血糖が下がった」「体重が落ちてうれしい」といった患者さんの喜びの声を聞く機会が増えました。
それだけでなく、製薬会社イーライリリーの株価が約4倍になったという話もあり、世界中でその人気と実力が証明されつつある注射薬です。
そこで今回は、GLP-1受容体作動薬とはそもそも何なのか?という基礎から、メリット・デメリット、各製剤の違いと特徴、患者さんへの説明で気をつけたいポイントまで、わかりやすく噛み砕いて解説していきます。
これを読めば、処方せんを見たときも、薬歴を書くときも、「自信をもって説明できる!」と思えるはずです。
- GLP-1受容体作動薬ってどんなふうに体に効くのか?
- GLP-1受容体作動薬に潜む副作用とは?
- GLP-1受容体作動薬の効果と実績
- 代表的なGLP-1受容体作動薬、その違いを徹底比較!
現状
2型糖尿病の治療では、まず経口血糖降下薬による治療が一般的に行われている。しかし、近年の国内調査によれば、経口薬を使用中の患者のうち約半数がHbA1c 7.0%以上と、目標達成に至っていない実態が報告されている(JDDM2021)。
また、BMIが25~27.5未満の患者においてもインスリン抵抗性が高いことが示されており、体格にかかわらずインスリン抵抗性が血糖コントロールの障壁となっている可能性がある。
このような現状から、「経口薬だけでは十分なHbA1cの改善が得られない」「インスリン抵抗性が改善されていない」といった課題が、2型糖尿病治療における重要なポイントとなっている。
GLP-1とは?

GLP-1は、食事をすると腸から自然に分泌される「インクレチン」というホルモンのひとつである。血糖値が上がると、それを感知してインスリンを分泌させる命令を出す。
しかし、GLP-1の働きはそれだけではない。
- グルカゴン(血糖を上げるホルモン)の分泌を抑える
- 胃の動きをゆっくりにして、満腹感を長持ちさせる
- 脳に「もうお腹いっぱい」と信号を送り、食べ過ぎを防ぐ
このように、GLP-1は血糖コントロール+食欲コントロールという二刀流の働きを持ち、糖尿病治療や肥満対策にも活用されている。
GLP-1受容体作動薬とは?
残念ながら、自然なGLP-1は体内で数分しか持たない。
これはDPP-4という酵素にすぐ分解されてしまうためである。
そこで開発されたのがGLP-1受容体作動薬!
GLP-1受容体作動薬は、GLP-1に似せて作られ、分解されにくく、効果が長く続くよう設計されている。
特徴
血糖値が高い時だけインスリン分泌を促し、血糖値が低い時はあまり働かない
→ 低血糖を起こしにくい(単独使用時)
胃の動きを遅らせ、食欲を自然に抑える
→ 無理なく食事量を減らせる
心血管病(心筋梗塞や脳卒中)や腎臓病リスクも減らす可能性あり
→ 「血糖値を下げる」だけで終わらない、新しい治療の選択肢
主な副作用
胃腸症状
吐き気、嘔吐、下痢注意。初めて使用するときや増量時に起こりやすくなる。
吐き気がある時は以下の対応が役立つかもしれない。
- 1回あたりの食事量を減らし、3食、4食に分ける
- 揚げ物などの脂肪の多い食品は避ける
- 満腹感を感じたら、それ以上食べるのをやめる。
低血糖
SU剤、グリニド薬、インスリンなどの糖尿病薬を併用している場合注意。
各薬剤の特徴
トルリシティ
投与ステップ
ステップ | 用量 | 期間・タイミング |
開始用量 | 0.75mg | 最初の投与量 |
維持用量 | 1.5mg | 患者の状態に応じて |
胃腸症状などの副作用に慣れるため少量から開始
すべて週1回投与(食事時間にかかわらず、毎週同じ曜日に投与)
注射部位は腹部、太もも、または上腕部(毎回位置を少しずらすのが望ましい)
トルリシティの主な臨床試験データ
心血管イベントのリスク低下:REWIND試験
- 対象:心臓や血管の病気になったことがある、または高血圧や脂質異常などのリスクを持つ2型糖尿病患者
- 結果:トルリシティ1.5mgを週1回投与することで、主要心血管イベントのリスクを12%有意に低下させた
血糖値と体重への影響:AWARD-11試験
- 対象:メトホルミンで血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者
- 結果:
- トルリシティ4.5mg群では、HbA1cが平均1.87%低下し、体重が平均4.7kg減少した
- 高用量群でより顕著なHbA1c低下および体重減少が認められた

オゼンピック
投与ステップ
ステップ | 用量 | 期間・タイミング |
開始用量 | 0.25mg | 最初の4週間 |
維持用量 | 0.5mg | 4週間以上 |
増量(必要時) | 1.0mg | 患者の状態に応じて |
胃腸症状などの副作用に慣れるため少量から開始
すべて週1回投与(食事時間にかかわらず、毎週同じ曜日に投与)
注射部位は腹部、太もも、または上腕部(毎回位置を少しずらすのが望ましい)
オゼンピック vs トルリシティ(SUSTAIN 7)
試験概要:週1回注射のGLP-1作動薬同士を比較
対象:メトホルミン内服中の2型糖尿病患者(海外)
HbA1cの変化(40週)
投与群 | HbA1c変化(%) |
オゼンピック 0.5mg | -1.5% |
オゼンピック 1.0mg | -1.8% |
トルリシティ0.75mg | -1.1% |
トルリシティ 1.5mg | -1.4% |
体重の変化
投与群 | 体重変化(kg) |
オゼンピック 0.5mg | -4.6kg |
オゼンピック 1.0mg | -6.5kg |
トルリシティ 0.75mg | -2.3kg |
トルリシティ 1.5mg | -3.0kg |
結論:HbA1c・体重ともにオゼンピックが優れていた。
オゼンピック vs プラセボ(SUSTAIN 6)
試験概要:血糖コントロールだけじゃなく、「心臓を守れるか」も注目された試験。
対象:心血管リスクを有する2型糖尿病患者(海外)
104週
項目 | 結果 |
MACE(心血管イベント)全体 | オゼンピック群でプラセボ群より26%リスク減少 |
個別の結果 | 心筋梗塞リスク:減少傾向 脳卒中リスク:明らかに減少 心血管死リスク:減少傾向 |
結論:オゼンピックは血糖コントロールだけでなく、心血管イベントのリスクも有意に減らせることが示された。
オゼンピック vs ジャヌビア(SUSTAIN Japan)
試験概要:国内試験、日本人2型糖尿病患者対象
比較薬:DPP-4阻害薬の代表であるジャヌビア(100mg/日)
HbA1cの変化(30週)
投与群 | HbA1c変化(%) |
オゼンピック 0.5mg | -1.87% |
オゼンピック 1.0mg | -2.18% |
ジャヌビア 100mg | -0.69% |
→オゼンピックはジャヌビアに比べ、30週時点でHbA1cを有意に低下させた
体重の変化
投与群 | 体重変化(kg) |
オゼンピック 0.5mg | -2.21kg |
オゼンピック 1.0mg | -3.87kg |
ジャヌビア 100mg | +0.02kg |
→ ジャヌビアでは体重に変化がなかったのに対し、オゼンピックでは有意な減少が認められた。
各試験の位置づけとまとめ
試験名 | 比較対象 | 主な評価項目 | 対象地域 |
SUSTAIN 6 | プラセボ | 心血管イベント | 海外 |
SUSTAIN 7 | トルリシティ | HbA1c、体重 | 海外 |
SUSTAIN Japan | ジャヌビア | HbA1c、体重 | 日本国内 |

マンジャロ
GIPとGLP-1の両方の受容体に作用する
GIPに関するポイントまとめ
1. インクレチンホルモンのひとつ
- GIPは、GLP-1と並ぶインクレチンホルモンであり、食事をとると消化管から分泌される。
- すい臓に働きかけて、血糖値に応じてインスリンの分泌を促す。
2. 健康な人では重要な役割を担っている
- 健康な成人では、食後に分泌されるインスリンのうち、およそ70%がインクレチンの作用によって促されているとされている。
- このインクレチン作用の約3分の2はGIPが担っており、残りの約3分の1はGLP-1によるものである。つまり、インスリン分泌への影響はGIPの方がGLP-1よりも大きいと考えられている。
効果・働き | 解説 |
血糖値の改善 | GIPが加わることで、さらにインスリン分泌が高まりやすくなる(特に初期分泌) |
体重減少効果 | GIPの作用により、脂肪細胞への影響や食欲抑制が強く働く可能性あり |
インスリン抵抗性の改善 | GIPは脂肪組織や筋肉に作用してインスリン感受性を改善する報告あり |
胃排出遅延 | GLP-1の主な作用。GIPには直接作用しないが、補完的に働く可能性 |
マンジャロの投与ステップ
ステップ | 用量 | 期間・タイミング |
開始用量 | 2.5 mg | 最初の4週間 |
増量ステップ | 5.0 mg | 2.5 mg使用後、4週間以上 |
7.5 mg | 5 mg使用後、4週間以上 | |
10 mg | 7.5 mg使用後、4週間以上 | |
12.5 mg | 10 mg使用後、4週間以上 | |
最大用量 | 15 mg | 12.5 mg使用後、4週間以上 |
胃腸症状などの副作用に慣れるため少量から開始
すべて週1回投与(食事時間にかかわらず、毎週同じ曜日に投与)
注射部位は腹部、太もも、または上腕部(毎回位置を少しずらすのが望ましい)
オゼンピックやトルリシティと比べて、より細かく増量ステップが設定されているのが特徴。
マンジャロとトルリシティの血糖値比較表
評価項目 | マンジャロ 5mg | マンジャロ 10mg | マンジャロ 15mg | トルリシティ0.75mg |
HbA1c変化量(%) | -2.4 | -2.6 | -2.8 | -1.3 |
空腹時血糖変化量(mg/dL) | -39.6 | -56.6 | -60.3 | -29.6 |
HbA1c < 7.0%達成率(%) | 91 | 92 | 97 | 67 |
HbA1c < 6.5%達成率(%) | 51 | 58 | 79 | 40 |
HbA1c < 5.7%達成率(%) | 40 | 52 | 52 | 3 |
血糖をより厳密にコントロールしたい人には、GLP-1単独よりも「GIP+GLP-1」のマンジャロの方が有利。
マンジャロとトルリシティの体重・脂質関連データ比較表
評価項目 | マンジャロ 5mg | マンジャロ 10mg | マンジャロ 15mg | トルリシティ0.75mg |
体重変化量(kg) | -5.8 | -8.5 | -10.7 | -0.5 |
腹囲変化量(cm) | -6.7 | -9.2 | -10.9 | -0.1 |
中性脂肪(TG)変化(mg/dL) | -27.1 | -30.6 | -37.7 | -13.8 |
総コレステロール変化(mg/dL) | -10.0 | -12.0 | -15.4 | -3.8 |
HDL-C変化(mg/dL) | 3.8 | 5.4 | 5.9 | 0 |
LDL-C変化(mg/dL) | -12.0 | -27.0 | -37.6 | -8 |
VLDL-C変化(mg/dL) | -22.7 | -30.2 | -35.9 | -8 |
VLDL-Cは「中性脂肪を運ぶ粒子に含まれるコレステロール」であり、多すぎると動脈硬化のリスクにつながる
マンジャロは「体重減少」にも非常に強い
マンジャロは脂質バランスを改善する。
中性脂肪(TG)やLDLコレステロール(悪玉)は、大きく低下。
一方で、HDLコレステロール(善玉)は増加。
トルリシティではこれらの変化は小さめか、ほぼ変化なし。
→マンジャロは、糖尿病だけでなく心血管リスクの管理にも期待される薬といえる。
各注射の注意事項
項目 \ 薬剤名 | トルリシティ | オゼンピック | マンジャロ |
作用機序 | GLP-1受容体作動薬 | GLP-1受容体作動薬 | GIP/GLP-1受容体作動薬(2つの作用) |
主な副作用 | 吐き気、下痢、便秘、食欲低下 | 吐き気、便秘、腹部不快感 | 吐き気、便秘、下痢、食欲低下 |
投与頻度 | 週1回 | 週1回 | 週1回 |
空打ち | 不要(ワンプッシュタイプ) | 必要(使い始めに空打ち) | 不要(ワンプッシュタイプ) |
保管方法 | 未使用時の保管方法 冷蔵(2~8℃) 室温保存可能期間 14日以内 | 未使用時の保管方法 冷蔵(2~8℃) 室温保存可能期間 8週間以内 | 未使用時の保管方法 冷蔵(2~8℃) 室温保存可能期間 21日以内 |
打ち忘れた場合 | なるべく早く打つ次の投与まで72時間(3日間)以上あればOK | なるべく早く打つ次の投与まで48時間(2日間)以上あればOK | なるべく早く打つ次の投与まで72時間(3日間)以上あればOK |
空打ち:オゼンピックだけ、最初に針を付けて空打ち(試し打ち)が必要。
保管:冷蔵が基本だが、持ち運ぶときなどは室温保管可能な日数に注意が必要。
注入器:トルリシティとマンジャロは「ワンプッシュ式」で操作が簡単。オゼンピックは量を調節するタイプ。

リベルサス
GLP-1受容体作動薬の飲み薬。
投与ステップ
段階 | 用量 | 投与の目安期間・条件 |
開始用量 | 3mg(1日1回) | まずはこの量からスタート。 |
維持用量 | 7mg(1日1回) | 3mgを4週間以上使用しても効果が不十分な場合に増量。 |
治療の強化用 | 14mg(1日1回) | 7mgを4週間以上使用しても効果が不十分な場合にさらに増量。 |
リベルサスは注意点が多い。
1 空腹時(1日の最初の飲食の前)に服用
2 1錠をコップ半分の水(約120mL以下)とともに服用。
3 服用後に飲み物を飲んだり食事をしたり他の薬を服用する場合は、少なくとも服用後30分経ってから
4 リベルサスは湿気と光の影響を受けやすい薬である。服用の直前に錠剤をシートから取り出す。
5 お茶、コーヒー、服用ゼリーなどでの服用はせず、約120mL以下の水で服用。
6 14mg1錠の代わりとして7mg2錠を服用することはできない

なぜ空腹時に服用しなきゃならないの?

ここでポイントとなるのは吸収促進剤のSNAC!
その理由を以下に示すね。
まずリベルサスには吸収促進剤(SNAC:サルカプロザートナトリウム)が添加されている。
リベルサスに含まれている有効成分セマグルチドは、本来、胃や腸の消化酵素によって分解されやすい構造をしている。このため、単純に経口投与しても、体内に十分吸収されず、効果を発揮できないという課題があった。それを改善するために、吸収促進剤SNACが添加された。
SNACの働き
- 胃の局所的なpHを一時的に変化させる
→胃酸によるセマグルチドの分解を防ぐ。 - 胃の粘膜を一時的に柔らかくし、隙間を作る。
→セマグルチドがその隙間を通って、胃の壁を抜けて血液中に入りやすくする。
胃の中に食べ物や飲み物があると
- 薬と食べ物が混ざってしまい、胃の粘膜に直接触れにくくなる
- 胃の中の環境(pHなど)が変化し、SNACの効果が弱まる
- 胃の内容物によって薬の滞留時間が変わり、安定した吸収ができなくなる
といった問題が生じ、セマグルチドの吸収量が減ってしまう。
そのためリベルサスは起床後すぐ空腹時に服用。服用後、少なくとも30分間は何も食べたり飲んだりしないと言う厳格な服薬指導が求められているのである。

なぜリベルサス®は水120mL以下で服用しなければならないの?

十分に吸収されず、薬の効果が低下する恐れがあるからだよ。
リベルサスは、胃の中で吸収促進剤(SNAC)の働きによって、胃の粘膜から直接吸収されるように設計されている。
この吸収がうまく機能するためには、薬剤(セマグルチドとSNAC)が胃粘膜にしっかりと接触する必要がある。
もし大量の水で服用すると、
- 薬が胃の中で広がりすぎてしまい、粘膜への接触が弱くなる
- 胃内容量が増えてしまい、胃の動きが活発になり、薬がすぐに胃から小腸へ流れてしまう
といった問題が起こる。
その結果、十分に吸収されず、薬の効果が低下する恐れがある。
このため、リベルサスはコップ半分程度(約120mL以下)の少量の水で服用することが厳格に指示されているのである。

なぜリベルサスは2錠服用したらいけないの?
(14mg1錠を7mg2錠で代用してはいけない)

薬剤の吸収効率が低下し、十分な効果が得られなくなる可能性があるから。
リベルサスは、吸収促進剤(SNAC)を1錠あたり300mg含有している。
このSNACは、多すぎても少なすぎても薬剤の吸収効率に悪影響を及ぼす成分である。
7mg錠を2錠同時に服用した場合、SNACの総量は600mgとなり、推奨されている1回投与量(300mg)を大きく超過する。
これにより、薬剤の吸収効率が低下し、十分な効果が得られなくなる可能性がある。
したがって、リベルサスを14mg投与する場合には、必ず14mg錠を1錠で服用することが求められる。
7mg錠を2錠服用して代用することは認められていない。
リベルサスとトルリシティの比較
比較対象:
リベルサス3mg / 7mg / 14mg
トルリシティ0.75mg(週1回皮下注)
HbA1cの変化量(26週後)
治療群 | ベースラインHbA1c | 26週後のHbA1c変化量 | 有意差(vs トルリシティ) |
リベルサス 3mg群 | 8.2% | -1.1% | トルリシティの方が有意に優れる |
リベルサス 7mg群 | 8.3% | -1.7% | 有意差なし |
リベルサス 14mg群 | 8.4% | -2.0% | リベルサスの方が有意に優れる |
デュラグルチド 0.75mg群 | 8.4% | -1.5% | ― |
HbA1c<7.0%達成率
治療群 | 達成率 | 有意差(vs トルリシティ) |
リベルサス 3mg群 | 46.1% | トルリシティの方が有意に優れる |
リベルサス 7mg群 | 75.0% | 有意差なし |
リベルサス 14mg群 | 82.0% | リベルサスの方が有意に優れる |
デュラグルチド 0.75mg群 | 70.3% | ― |
→ 3mgではトルリシティの方が優れる/14mgではリベルサスが明らかに優れる
体重変化(26週後)
治療群 | 体重変化(kg) |
リベルサス 3mg群 | -0.2kg |
リベルサス 7mg群 | -1.0kg |
リベルサス 14mg群 | -2.2kg |
デュラグルチド 0.75mg群 | +0.3kg |
→ リベルサスは用量が増えるほど体重減少効果が強く、トルリシティでは逆に微増傾向
リベルサス14mgはHbA1c低下量・達成率・体重減少のいずれにおいても、週1回皮下注製剤であるトルリシティ0.75mgよりも優れた効果を示した。一方、リベルサス3mgではHbA1c改善・達成率ともにトルリシティに劣っていた。したがって、経口GLP-1作動薬を使用する際には適切な用量設定が重要である。
リベルサスとジャヌビアの比較
比較対象:
リベルサス3mg / 7mg / 14mg
ジャヌビア 100mg
HbA1cの変化量(26週後)
治療群 | ベースラインHbA1c | 26週後のHbA1c変化量 | 有意差 |
リベルサス 3mg群 | 8.3% | -0.6% | |
リベルサス 7mg群 | 8.4% | -1.0% | 有意差あり |
リベルサス 14mg群 | 8.3% | -1.3% | 有意差あり |
ジャヌビア 100mg群 | 8.3% | -0.8% | ― |
HbA1c<7.0%達成率
治療群 | 達成率 | 有意差 |
リベルサス 3mg群 | 26.7% | |
リベルサス 7mg群 | 43.8% | 有意差あり |
リベルサス 14mg群 | 56.4% | 有意差あり |
ジャヌビア 100mg群 | 32.3% | ― |
リベルサス3mgはHbA1c低下量が小さく、ジャヌビアより劣った。リベルサス7mgと14mgはいずれもHbA1c低下量、達成率ともにジャヌビアより有意に優れた。
リベルサスとジャディアンスの比較
比較対象:
リベルサス14mg
ジャディアンス 25mg
HbA1cの変化量(26週後)
治療群 | ベースラインHbA1c | 26週後のHbA1c変化量 | 有意差 |
リベルサス 14mg群 | 8.1% | -1.3% | 有意差あり |
エンパグリフロジン 25mg群 | 8.1% | -0.9% | ― |
HbA1c<7.0%達成率
治療群 | 達成率 | 有意差 |
リベルサス 14mg群 | 66.8% | 有意差あり |
ジャディアンス25mg群 | 40.0% | ― |
リベルサス14mgはHbA1c低下量、HbA1c<7.0%達成率ともにジャディアンス25mgより有意に優れていた。

まとめ
- マンジャロはGIPが加わることで、オゼンピックなどのGLP-1単独受容体作動薬よりも「血糖降下作用」「体重減少作用」ともに優れている
- 手技的に簡単なのはトルリシティとマンジャロ
- 注射が嫌であればリベルサスという選択肢もあり
以上、近年特に注目を集めているGLP-1受容体作動薬についてまとめてまいりました。
食生活の欧米化や運動不足といった生活習慣の変化により、日本においても糖尿病患者数の増加が懸念されており、今後ますますGLP-1受容体作動薬の重要性は高まっていくことでしょう。
近年では、患者さん自身が積極的に情報を収集し、私たち以上に深い知識を持っているケースも珍しくありません。だからこそ、私たち薬剤師は、常に最新の情報を学び続け、より信頼される存在でありたいと改めて感じます。
本記事が、日々の業務や学びの一助となれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント