SGLT2阻害薬は、2型糖尿病の治療薬として広く使われていますが、最近では慢性心不全や慢性腎臓病にも適応が広がり、さらに注目を集めています。とはいえ、「どの薬がどんな患者さんに適しているの?」と迷うことも多いのではないでしょうか?
実は、SGLT2阻害薬は種類ごとに適応症や特徴が異なります。本記事では、6種類のSGLT2阻害薬の添付文書データをもとに、それぞれの違いを詳しく比較し、現場で役立つポイントをわかりやすく解説します。薬剤選択の参考に、ぜひご活用ください!
適応症の違い
SGLT2阻害薬は2型糖尿病の治療薬として承認されているが、一部の薬剤では1型糖尿病や慢性心不全、慢性腎臓病にも適応を有している。適応症の違いを理解することで、患者ごとに最適な薬剤を選択することが可能になる。
薬剤名 | 2型糖尿病 | 1型糖尿病 | 慢性心不全 | 慢性腎臓病 |
---|---|---|---|---|
エンパグリフロジン(ジャディアンス) | ○ | × | ○ | ○ |
ダパグリフロジン(フォシーガ) | ○ | ○ | ○ | ○ |
イプラグリフロジン(スーグラ) | ○ | ○ | × | × |
トホグリフロジン(デベルザ) | ○ | × | × | × |
ルセオグリフロジン(ルセフィ) | ○ | × | × | × |
カナグリフロジン(カナグル) | ○ | × | × | ○ |
- 1型糖尿病の適応があるのはフォシーガとスーグラのみ。
- ジャディアンスとフォシーガは慢性心不全・慢性腎臓病にも適応あり。
- カナグルは腎保護作用が認められているが、心不全の適応はない。
- 心血管疾患のリスクが高い患者に対しては、フォシーガが特に有効とされる。
用法・用量の違い
SGLT2阻害薬の用法・用量は、患者の体格や腎機能によって調整が必要な場合がある。各薬剤の投与量や増量可能な範囲は異なるため、適切な投与計画を立てることが重要である。
薬剤名 | 初期用量 | 最大用量 | 投与回数 |
---|---|---|---|
ジャディアンス | 10mg | 25mg | 1日1回 朝食前または朝食後 |
フォシーガ | 5mg | 10mg | 1日1回 |
スーグラ | 50mg | 100mg | 1日1回 朝食前または朝食後 |
デベルザ | 20mg | – | 1日1回 朝食前または朝食後 |
ルセフィ | 2.5mg | 5mg | 1日1回 朝食前または朝食後 |
カナグル | 100mg | – | 1日1回 朝食前または朝食後 |
すべてのSGLT2阻害薬において、腎機能、併用薬、高齢者など患者特定を考慮した慎重な用量調整が求められる。
半減期の違いと臨床的影響
SGLT2阻害薬の半減期は、薬剤の持続時間や頻尿、脱水のリスクに影響を与える。持続時間が長い薬剤は夜間の頻尿リスクが高まる一方で、短い薬剤は効果が切れるタイミングに注意が必要。
薬剤名 | 半減期(t1/2) |
---|---|
ジャディアンス | 約12時間 |
フォシーガ | 約13時間 |
スーグラ | 約13時間 |
デベルザ | 約5時間 |
ルセフィ | 約9時間 |
カナグル | 約10.6時間 |
- 半減期が5時間と短いため、夜間頻尿のリスクが低いのはデベルザ
- 持続的な作用が期待できるが夜間頻尿の可能性があるのはフォシーガ・スーグラ・ジャディアンス・カナグル
- 高齢者や夜間頻尿が気になる人は朝の服用が望ましい
SGLT2選択性の違い
薬剤名 | SGLT2選択性(SGLT1に対するSGLT2の選択比) |
---|---|
ジャディアンス | 高い(SGLT2を選択的に阻害) |
フォシーガ | 高い(SGLT2を選択的に阻害) |
スーグラ | 高い(SGLT2を選択的に阻害) |
デベルザ | 高い(SGLT2を選択的に阻害) |
ルセフィ | 高い(SGLT2を選択的に阻害) |
カナグル | やや低い(SGLT1も阻害) |
SGLT2とSGLT1の違い
項目 | SGLT2 | SGLT1 |
---|---|---|
主な分布 | 腎臓(近位尿細管) | 小腸(主に空腸)、腎臓 |
主な役割 | 尿細管でのブドウ糖再吸収 | 小腸でのブドウ糖吸収、腎でのブドウ糖再吸収 |
阻害の影響 | 血糖値低下、ナトリウム利尿効果 | 食後血糖の上昇抑制、消化器症状発生の可能性 |
阻害する主な薬剤 | SGLT2阻害薬(ジャディアンス、フォシーガなど) | 一部のSGLT2阻害薬(カナグル) |
副作用 | 尿路感染、脱水、低血糖(併用薬による) | 消化器症状(下痢、腹痛など) |
血糖管理への影響 | 空腹時血糖の低下 | 食後血糖の低下 |
- ほとんどのSGLT2阻害薬はSGLT2を選択的に阻害し、腎でのブドウ糖排泄を促進する。
- カナグルのみSGLT1も阻害するため、小腸でのブドウ糖吸収にも影響を与え、食後血糖の上昇を抑える可能性がある。
副作用の違い
SGLT2阻害薬には共通した副作用があり、患者の状態に応じたリスク管理が重要。
副作用 | ジャディアンス | フォシーガ | スーグラ | デベルザ | ルセフィ | カナグル |
---|---|---|---|---|---|---|
尿路感染・性器感染 | あり | あり | あり | あり | あり | あり |
多尿・頻尿 | あり | あり | あり | あり | あり | あり |
低血糖(SU薬・インスリン併用時) | あり | あり | あり | あり | あり | あり |
脱水・血圧低下 | あり | あり | あり | あり | あり | あり |
ケトアシドーシス | あり | あり | あり | あり | あり | あり |
SGLT1阻害による消化器症状 | なし | なし | なし | なし | なし | ややあり |
- 全てのSGLT2阻害薬で尿路感染・性器感染のリスクがあるため、適切なケアが必要。
- 脱水による血圧低下が起こりやすいため、高齢者や降圧薬併用患者では注意が必要。
- カナグルはSGLT1も阻害するため、消化器症状の発現リスクが他の薬剤よりも高い可能性がある。
まとめ、推奨
薬剤名 | 特筆すべき特徴 |
---|---|
ジャディアンス | 慢性心不全・慢性腎臓病に対する適応あり |
フォシーガ | 1型糖尿病にも適応あり、心血管リスク低減効果が期待される |
スーグラ | 1型糖尿病適応あり |
デベルザ | 半減期が短く、夜間頻尿リスクが低い |
ルセフィ | フィルム剤がある |
カナグル | SGLT1阻害作用もあり、食後血糖コントロールに影響 |
- 心不全・腎臓病の合併症がある患者にはジャディアンスやフォシーガが第一選択となる。
- 1型糖尿病の患者にはフォシーガまたはスーグラを選択。
- カナグルはSGLT1も阻害するため、食後血糖コントロールにも効果が期待される。
- 夜間頻尿のリスクを考慮し、半減期の短いデベルザを高齢者に推奨。
- フォシーガは心血管イベントのリスク低減効果が臨床試験で示されており、心不全や動脈硬化性疾患を有する患者にとって有益な選択肢となる。

もーちゃん
SGLT2阻害薬を選択する際は、患者の状態や合併症に応じた適切な薬剤を選ぶことが重要です。臨床現場では、個々の患者に応じた治療計画を立てることが、より良い治療結果を得るための鍵となります!
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