【OTC類似薬】全額自己負担になるかもしれない28成分医薬品リスト

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現在、OTC類似薬のリストは決定していませんが、ネット上では「OTC類似薬28成分リスト」が話題になっています。

現時点ではまだ決定していないことも多いため、記事にするかどうか迷いました。ただ、自分自身でも何が決定事項で、何が未確定なのかがはっきりしていない状況です。そこで、現時点で確かなことと、今後の可能性として考えられることを整理してみることにしました。

OTC類似薬とは

以前にもOTC類似薬について書いたので本記事では簡潔に説明します。
前回のOTC類似薬についての記事

医療用医薬品(OTC類似薬)
✅処方箋が必要
✅保険適用
✅医師の判断で使用

OTC医薬品(市販薬)
❌処方箋不要
❌全額自己負担
✅自己判断で購入

具体例
ロキソニンを例に考えてみましょう
 医療用:ロキソニン錠60mg(処方箋必要、保険適用)
OTC:ロキソニンS(処方箋不要、全額自己負担)
成分:どちらもロキソプロフェンナトリウム
このように、成分は同じなのに販売形態が違うのがOTC類似薬の特徴です。

なぜ今、見直しが議論されているのか?

医療費急上昇

医療費の急増
47兆円

高齢化の進展
29.1%

セルフメディケーション
推進

令和5年度の医療費総額 厚生労働省
高齢化率(令和5年10月1日現在) 内閣府

話題の「28成分」とは

28成分

提示者:猪瀬直樹参議院議員(日本維新の会)
発表時期:2025年4月17日の3党協議(自民党、公明党、日本維新の会)
選定基準:OTC医薬品と1日最大用量が同じOTC類似薬
データ基準:厚生労働省医薬局が薬剤統計データから抽出
総薬剤費:1,543億円

📚参考:薬事日報

OTC類似薬28成分リスト

成分名主な薬効・用途主な先発医薬品名
ヘパリン類似物質保湿剤ヒルドイド
酸化マグネシウム便秘薬マグミット
フェキソフェナジン抗アレルギー薬アレグラ
エピナスチン抗アレルギー薬アレジオン
ケトチフェンフマル酸塩抗アレルギー薬ザジテンカプセル・点眼
ロラタジン抗アレルギー薬クラリチン
ベポタスチン抗アレルギー薬タリオン
アシタザノラスト抗アレルギー薬ゼペリン点眼
トラニラスト抗アレルギー薬リザベン点眼
フルチカゾンプロピオン酸エステル抗アレルギー薬フルナーゼ点鼻
ロキソプロフェン解熱鎮痛薬ロキソニン
イブプロフェン解熱鎮痛薬ブルフェン
ピロキシカム外用消炎鎮痛剤パキソ軟膏
フェルビナク外用消炎鎮痛剤フェルビナクテープ
カルボシステイン去痰薬ムコダイン
テルビナフィン塩酸塩 抗真菌薬ラミシールクリーム
イソコナゾール抗真菌薬アデスタンクリーム
アデスタン腟錠
オキシコナゾール抗真菌薬オキナゾール腟錠
イトプリド胃腸薬ガナトン
クロラムフェニコール抗生剤クロロマイセチン軟膏2% 
プレドニゾロン吉草酸エス
テル 酢酸エステル
ステロイドリドメックスコーワ軟膏
ベタメタゾン吉草酸エステ
ステロイドリンデロンV軟膏
トコフェロールビタミンユベラ
チンク油抗収れん薬 チンク油「東海」
トリアムシノロンアセトニド口腔用軟膏オルテクサー口腔用軟膏
尿素保湿剤パスタロンクリーム
ビダラビン 抗ウイルス薬アラセナA軟膏

📚参考 全国保険医団体連合会のリスト

OTC類似薬の28成分を見ると、抗アレルギー薬が多く含まれており、さらにロキソニンや酸化マグネシウム、ヒルドイドといった知名度の高い薬も目立ちます。
日常的によく使われている薬が多く、誰にとっても身近な成分が中心だという印象を受けました。

 

薬剤費上位3成分の詳細

1位:ヘパリン類似物質
544億円
総薬剤費の35.2%

2位:酸化マグネシウム
231億円
総薬剤費の15.0%

3位:フェキソフェナジン
203億円
総薬剤費の13.2%

OTC類似薬 割合

📚参考 全国保険医団体連合会

こうして見ると、上位3つの成分だけで全体の約3分の2を占めていることが分かります。ヘパリン類似物質や酸化マグネシウムは予想通りでしたが、フェキソフェナジンがこれほど大きな割合を占めているのは意外でした。28成分すべてに一律に適用するのではなく、まずはこの3成分に限定して取り組むだけでも、かなりの医療費削減につながるのではないかと感じました。

確実なこと vs 可能性があること

悩む

ここで本題の確実なことと可能性があることを分けていきます。

確実に決まっていること

政治的合意

  • 2025年6月11日:3党正式合意
  • 2025年6月13日:骨太の方針2025に明記
  • 自民、公明、維新が合意済み

実施スケジュール

  • 「早期実現可能なもの」から開始
  • 2025年末:予算調整過程で検討
  • 2026年度:段階的実施開始

可能性があること・未確定

対象範囲

  • 28成分すべてが対象となるかは未確定
  • 適応拡大による部分的対象外の可能性
  • 患者影響を考慮した段階的実施

実施方法

  • 完全自費 vs 一部負担増加
  • 経過措置の有無
  • セルフメディケーション税制との連動

患者負担への具体的影響

負担増

計算例:ヒルドイドクリーム0.3%(25g)の場合
現時点での主流な政府の進め方としては、保険適用から外れたOTC類似薬は市販薬を自費購入することを前提としているので、保険適応のジェネリックと市販品の比較をします。
📚参考 全国保険医団体連合会

現在(保険適用)
後発品の場合(日医工)
92.5円
薬価:3.7円/g × 25g


保険適用除外後
市販薬購入の場合
800円(メーカー差あり)
約8.7倍の負担増

月額コストの比較

月2本使用の場合(現在)
185円/月

月2本使用の場合(除外後)
1,600円/月

年間差額:16,980円(1人あたり)

※但し、医療機関受診料等を考慮すると実際の差とは少し違ってくる。

影響を受けやすい患者

  • アトピー性皮膚炎患者:ヒルドイドなどを長期使用
  • 花粉症患者:アレグラなどの抗アレルギー薬
  • 高齢者:便秘薬の常用
  • 慢性疾患患者:継続的な薬物治療が必要

薬剤師への影響と対応策

対策

予想される影響

調剤業務の変化
OTC類似薬の処方減少により、調剤数量が減る可能性

患者相談の増加
「保険が使えなくなった薬はどうすれば?」といった相談

OTC販売の拡大
代替となるOTC医薬品の販売機会増加

服薬指導の重要性
適切な薬剤選択のサポートがより重要に

必要な対応策

知識のアップデート
OTC医薬品に関する知識を継続的に更新

患者コミュニケーション
制度変更について分かりやすく説明する技術

代替薬の提案力
患者に適したOTC医薬品を提案する能力

制度理解の深化
セルフメディケーション税制など関連制度の理解

今後のタイムライン

スケジュール

2025年6月
3党合意・骨太の方針2025策定 (完了)

2025年末
予算編成過程で具体的対象品目を決定 (検討中)

2026年4月
「早期実現可能なもの」から段階的実施開始 (予定)

2027年以降
追加対象品目の検討・実施 (未確定)

個人的な意見

私自身は賛成とも反対とも明確には答えられません。

こういう制度ができると上記にもありましたが、重大な病気を見過ごされることが怖いです。また、単なる風邪だと思っていたらコロナだったということもあるかもしれません。

しかし、こんな現実もあります。湿布をいっぱいもらって近所の人に配ったり、母親がヒルドイド欲しさに子供を利用して処方してもらったり。そういうのを見るとこういう規制が無駄な薬を減らしてくれると思います。

このバランスがとれた上手い法案があれば理想ですが、なかなか難しそうです。

まとめ

OTC類似薬28成分の保険除外は、日本の医療制度における重要な転換点です。薬剤師として以下の点を念頭に置いて対応していく必要があります:

  1. 患者目線での対応: 負担増への配慮と適切な情報提供
  2. 専門性の発揮: OTC選択支援と受診勧奨の適切な判断
  3. 継続的学習: 制度変更への迅速な対応と知識のアップデート
  4. 社会的責任: セルフメディケーション推進における重要な役割

2026年度の実施に向けて、今から準備を進めることが重要です。患者さんの健康を守りながら、新しい医療制度の中で薬剤師の専門性を最大限に発揮していきましょう。
最後までお読みくださりありがとうございました。

参考資料:

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